現代アートや建築にまつわる様々な「わからない」を3分で解説する「3分で分かるシリーズ」の不定期連載をスタート。正直「現代アートって分からない」とか「建築って難しい」といった気持ちの方も多いはず。「でもなんとなく興味がある」そんな好奇心旺盛な方向けの超入門解説です。
安藤忠雄について、3分で分かります!
Contents(目次)
安藤忠雄(あんどうただお)って誰?
・1941年大阪生まれ(75歳)
・独学で建築を勉強して世界的に有名になった建築家
・高卒だけど東大名誉教授
・プロボクサーやったり、世界一周したり、とにかくいろいろ経験
・建築界のノーベル賞といわれる「プリツカー賞」など受賞多数
安藤忠雄って何が有名なの?
・『ANDOコンクリート』とも言われる、壁にタイルや板をはっていない「打ちっぱなしコンクリート」の建物で有名。
・冷暖房が無い&家の中に雨が降り込んでくる、狭いけど風流な家『住吉の長屋』が有名。
・十字架の光が差し込む『光の教会』などの教会建築が有名。
・現代アートの島、香川県直島で建てた『地中美術館』や『ベネッセハウスミュージアム』のプロジェクトが有名。
・東京だと『表参道ヒルズ』『東横線渋谷駅』を作ったことで有名。
・イタリア、アメリカ、中国など世界各地の美術館を作っていることで有名。
「安藤忠雄」の代表作って?
安藤忠雄の話になった時必ず出てくるものを3つほど紹介する。
住吉の長屋(1976年)
出典:http://www.hetgallery.com/row-house_sumiyoshi.html
安藤忠雄の初期作品として代表的な住宅建築。大阪市住吉区に建つ三軒長屋の真ん中を切り取り、真ん中に間口2間奥行き7間(3.45m×14.25m)の打ち放しコンクリートの箱を作った。
光の教会(1989年)
撮影:hiromitsu morimoto
撮影:hiromitsu morimoto
撮影:hiromitsu morimoto
大阪府茨木市に建築された、日々の信仰を目的としたプロテスタント系の教会堂。「風の教会」「水の教会」と合わせて「教会三部作」とも言われる。国立新美術館「安藤忠雄-挑戦-」で、1/1の原寸大の建物が再現。
地中美術館(2004年)
撮影:Forgemind ArchiMedia
撮影:Kentaro Ohno
撮影:Forgemind ArchiMedia
撮影:EFFIE YANG
撮影:EFFIE YANG
香川県直島にて、ウォルター・デ・マリア、ジェームス・タレル、クロード・モネの3アーティストを常設展示するためだけに作られた美術館。建物のほとんどが地中に埋まっている。一部の屋根が光を取り入れる作りになっており、作品のほとんどは自然光のもとで展示されている。
「安藤忠雄」がもっと分かるエピソード集
1,夏暑く、冬寒い『住吉の長屋』にまつわる、依頼主(施主)とのエピソード
普通は家を作る時、外の寒い空気や熱い空気を防ぐため「断熱」と言って、壁にタイルや板、もこもこの「断熱材」を入れます。しかし、安藤忠雄の家にはこの「断熱」がほとんど見られません。つまり、「夏めちゃくちゃ暑くて」「冬めちゃくちゃ寒い」家になります。その点について、家主と安藤さんの間でされたこんな会話が有名です。
寒い時どうするのとクライアントが言うので、「寒かったら一枚余分に着ろと」
じゃあもうちょっと寒かったらどうすればいいのかと「そしたらもう一枚余分に着ろと」
で、もうちょと寒かったらどうするのと「そしたらもう諦めろと」
2,「胆のう、胆管、十二指腸、膵臓、脾臓」と全部とっても生き続けるしぶとさ
ハードワーカーで寝る間もなく世界各地を飛び回っている安藤忠雄。実はここ数年で大きな手術を2回ほどしている。1回目は「胆のう、胆管、十二指腸」にがんがあり切除。2回目は膵臓と脾臓。お医者さんとのこんな会話があったそう。
「安藤さんまたがんがあるで」と、今度はどこにあるんやと、今度は膵臓の真ん中にあると、膵臓と脾臓と全部取らないかんと。慌てまして、膵臓全部取って生きていけるのかと聞いたら「今まで膵臓全部取って生きてる人はいるけれど、元気になった人はいませんな」といわれはこれは大変だなと(笑)仕方がないので、膵臓を全部取ることにしまして、脾臓も全部取ることにしまして。
膵臓と脾臓と胆のうと胆管と十二指腸がないひとが日本中にはいないから面白いんじゃないかとか言われてその時にまぁ、絶望したわけなんですけれども。
でも絶望してるだけじゃだめなんで、次へ挑戦しようということを考えました。
3,独学で建築家に。世界中、日本中の建築を自分の足で見て回ったエピソード
若かりし頃の安藤氏。出典:安藤忠雄展-挑戦-
実は「一流建築家」と呼ばれる人たちは、超エリートな人が多い。東大、京大、東工大などなど、、というかエリートでなければその土俵にも上がれないのが普通。
だが、安藤忠雄は高卒である。自分の設計技術一本で東京大学名誉教授まで上り詰めた人物。
いわゆる「学問」的な勉強をしていない安藤忠雄は、世界中を旅して、名建築と言われるものを自分の目と耳と体で感じてその素晴らしさ美しさを勉強していった。この成り上がり的なところを見て人は彼を「闘う建築家」と言ったりする。
コルビジェのロンシャンの教会を見て、その時に公共的に人が集まる場所を作るということに感動して、建築というのは人が集まる場所を作るんだなと言うことを考えました。これは写真を見てすぐに見に行きました。
丹下さんの代々木の体育館を見て、この工事中をみて、こんなことが可能なのかと思いました。
そして、勇気を持って新しいことに挑戦するということが重要なんだとおもってヨーロッパに行きます。有名なシベリア鉄道に2回いきまして、ローマのパンテオンを見て、ギリシャのパルテノン神殿を見て残念ながら私は教養が無いもんでその時私は思いました。絶望するんじゃなしに、勉強すると。
わからないものを何回も見ていく中で勉強しようとかんがえまして。マルセイユから、船に乗って、マダガスカル島まで、ケープタウンまで行った時に、人間って以外にどこ行っても知らないなと。